メモリの基本的な質問
ご購入前の疑問点
- 現在メモリをデュアルチャンネル2枚挿しで使用しています。4枚に増設したいのですが、可能でしょうか?
- オーバークロックメモリはメーカー製PCで使用できますか?
- オーバークロックメモリには多くの種類がありますが、どれを選ぶのがいいのでしょうか?
- 使用しているマザーボードはDDR2-800対応となっていますが、このマザーでDDR2-1066以上を使うことはできますか?
- 使用しているマザーボードにDDR3-2000(OC)対応となっていますが、このマザーでDDR3-2000を使うことはできますか?
トラブルシューティング
- DDR3-1600メモリが動作しません。
- BIOSが起動しません。チェックする方法はありますか?
- CPU-Zで表示されるSPDデータがメーカースペックと異なります。これは不具合でしょうか?
- Memtest86+をかけるとエラーがでます。
オーバークロッキング
Memtest86+というメモリチェックソフトがあります。このツールを使ってテストしているメモリメーカーもあります。CD-ROM、USBメモリ、FDより起動して使用します。
- Memtest86+
- http://www.memtest.org/
テスト#1~#8まであり、テスト#5、#7が負荷が高いテストです。メモリに問題がある場合には、通常1pass目からエラーが発生します。
Memtest86+はメモリのテストだけを行うものではなく、システム全体の安定度をチェックすることができます。数時間動作させオーバークロックでの安定度を計ることができます。システムの安定度を調べるのにはPrime95というツールもあります。
これはシステムに高負荷をかけて正常に動作するかを調べるツールです。
BIOSからメモリ速度・電圧・タイミングを設定する必要があります。
メモリ設定において使われる用語です。通常メモリクロックはベースクロックにリンクして変動します。
INTELチップセットでベースクロックが133MHzのCPUの場合、1:6の対比でメモリクロックが設定されるとDDR3-1600ということになります。対比設定はマザーボードのBIOSで行いますが、メーカーにより表記方法が若干異なります。一般には、「DDR3-800」「DDR3-1066」「DDR3-1333」「DDR3-1600」などで表されます。
各マザーボードの設定は下記のページを参考にしてください。実際に設定してみたほうが対比という考え方が理解できると思います。
ASUS P6T メモリ設定ガイド
ASUS P7P55D メモリ設定ガイド
ASUS P8P67 メモリ設定ガイド
MSI P67A-GD65 メモリ設定ガイド
工業製品ですので、どうしても初期不良が出てきてしまいます。故障は
初期故障期:使用開始後、早い時期に発生する故障
偶発故障期:初期故障期間の後の通常使用期間にわたって発生する故障
摩耗故障期:寿命による故障
の3つに分けられます。
故障率を縦軸、時間を横軸にとってグラフを描くとバスタブのような曲線になり、これは"バスタブカーブ(故障率曲線)"と呼ばれています。使い始めの数か月は初期故障期にあたり、故障率が高く、それを過ぎると安定期となり故障率は少なくなります。
またオーバークロックメモリは、よりシビアな動作が要求されるため、通常のメモリより不良が出やすいというのが実際です。動作に不具合があるものは、ご購入店にご連絡ください。
最初の2枚と、増設する2枚が異なるメーカーの場合や製造時期が異なるものの場合は、正常に動作しない場合があります。主にメモリに設定されているSPD値の違いにより問題が起こります。同型番の製品であっても、製造時期が異なるとICチップが変更されます。4枚挿しの場合は、初めから4枚セットの製品を購入されることをおすすめします。
またオーバークロックメモリの場合、2枚組の製品を2セットで4枚にした場合は、スペック通りの動作が難しい場合があります。これはマザーボードやCPUとの組み合わせにもよります。こういった症状になった場合は少しスペックよりクロックを落とすことで安定動作が望める場合があります。
これはINTELチップセットでのトリプルチャンネル3枚挿しを6枚にしたい場合も同様です。
オーバークロックメモリは通常よりPCのパフォーマンスを引き出すために開発・製造された製品です。オーバークロックメモリは挿すだけでは、その効果はないということをご理解の上ご購入ください。マザーボードのBIOS設定を行い、高クロック、低レイテンシーで動作させれば快適に動作させることができます。
DDR3-1066スペック
Intel LGA 1366 プラットフォームの標準スペックとなっています。
DDR3-1333スペック
Intel LGA 1156/1155 プラットフォームおよびAMD Socket AM3 プラットフォームの標準スペックとなっています。定格使用におすすめです。
DDR3-1600スペック
AMD Socket FM1 プラットフォームの標準スペックとなっています。DDR3-1600は、多くのIntel/AMDプラットフォームで設定項目が用意されており、比較的簡単な設定で使用できます。CPUをOCせずに高いクロックでメモリを動作させたいという方におすすめです。
DDR3-1866スペック
DDR3-1866は、Intel P67/Z68チップセット搭載マザーボードや、Socket FM1マザーボードが設定項目を用意しています。これらのマザーボードでは、CPUをオーバークロックすることなく、DDR3-1866スペックでの利用が可能です。
DDR3-2133スペック
Intel P67/Z68チップセット搭載マザーボードの多くが設定項目を用意しています。かなりハイクロックでの動作となるため、メモリコントローラの耐性次第で安定動作しない場合がありますが、より高いパフォーマンスを狙われる方におすすめです。
DDR3-2200以上
「DDR3-2200」や「DDR3-2300」、さらに速い「DDR3-2400」などがあります。このクロックでメモリを動作させるには、対比だけでなくベースクロックのOCが必要な場合も多く、CPUやマザーボードの耐性が足りないと動作しないことがありますのでご注意ください。とにかく最速スペックを求める方、ベンチマークで記録を伸ばしてみたい方におすすめです。
※事前に使用されるマザーボードでクロック設定、電圧設定、タイミング設定ができるかどうかを確認してください。メモリスペックに合わせてこれらの設定ができないと、メモリがスペックどおりに動作しない可能性があります。
DDR3-1333まで対応のマザーでも、BIOSの設定はそれ以上でも可能のものがあります。ですが、DDR3-1600の設定ができるマザーボードであっても、必ずDDR3-1600が動くということではありません。たとえばDDR3-1600のメモリが動作する条件は
(1)メモリのスペックいがDDR3-1600以上であること
(2)マザーボードがDDR3-1600以上のメモリクロック耐性があること
(3)CPUががDDR3-1600以上のメモリクロック耐性があること
となります。この3つの条件がそろって設定クロックでの安定動作が可能となります。
DDR3-2000(OC)対応のマザーでも、メモリ対比の仕様やCPUの耐性によりDDR3-2000で動かせない場合があります。
DDR3-2000に設定するメモリ対比が無い場合、CPUのベースクロックを調整をしなければならないため、CPUのベースクロック耐性の範囲内でDDR3-2000に設定することができなければ、たとえマザーボードがDDR3-2000動作をサポートしていても動作させることができません。
【参考】主なメモリコントローラ内蔵CPUのメモリ対比
Intel Core i7/i5/i3 2000 シリーズ(Z68) …… DDR3-800~DDR3-2133
Intel Core i7-900 シリーズ …… DDR3-800~DDR3-2133
Intel Core i7-800 シリーズ …… DDR3-800~DDR3-1600
Intel Core i5/i3 シリーズ …… DDR3-800~DDR3-1333
Intel Pentium G 6000 シリーズ …… DDR3-800~DDR3-1066
AMD A8/A6 シリーズ …… DDR3-800~DDR3-1866
AMD Phenom II シリーズ …… DDR3-800~DDR3-1600
AMD Athlon II シリーズ …… DDR3-800~DDR3-1600
※利用するマザーボードの搭載チップセットやBIOSにより、これより高い対比が設定できるものや、対比の設定が行えない場合がございます。
(このQ&AはINTEL P35、P45、X38、X48チップセット世代での回答です)
この世代のINTELチップセット環境ではCPUをFSB400にしないとDDR3-1600設定になりません。そのためDDR3-1600以上で動作させるにはCPU、マザーボードの耐性が問題となってきます。
マザーボードによってはDDR3-1600では安定動作しないこともあります。実際にメモリクロック耐性が低いマザーボードもあります。またメーカーがDDR3-1600以上対応としているマザーボードでもチップセット電圧などの調整や、冷却が必要になることがあります。
NVIDIAチップセットはCPUをオーバークロックしなくてもDDR3-1600以上の設定が可能です。メモリクロックをアップさせるには電圧の調整が必要になることもあります。
まずは各パーツの接続を確認してください。
(1)メモリ
(2)電源
(3)グラフィックボード
(4)CPU
以上の接触が悪いというケースがあります。
またマザーボードのCMOSクリアもお試しください。CMOSクリアの方法はマザーボードのマニュアルに記載されています。
メモリが原因となっている可能性が高い場合は、1枚ずつメモリを挿して試してみてください。これで1枚のみ動作しない場合は、メモリが故障、または初期不良の可能性が高くなります。1枚ずつでも動作しない場合は、他の要因の可能性があります。
これで解決できない場合は、販売店、または当サイトの問い合わせフォームよりご相談ください。
オーバークロックメモリの場合は、SPDのメモリタイミングデータとメーカースペックのタイミングは基本的に異なります。
SPDデータは、マザーボードをデフォルト起動したときに動作するデータが書き込まれていることが多く、メーカースペックと異なります。例えば、メーカースペックDDR3-1333 CL7-7-7-21のメモリでも、CPU-Zで確認すると533MHzの表示が9-9-9-24となっていたりしますが、これはメモリの異常ではありません。
SPDデータをメーカースペックにしてしまうと、マザーボードによってはデフォルト状態で起動しなくなってしまうことがあり、互換性が低下してしまうため、メーカー側でこのような処置をとっています。
メーカースペックのタイミングはBIOSで設定する必要があります。同時にクロック、電圧の設定も行ってください。設定ができないマザーボードの場合(メーカー製PCなど)は、オーバークロックメモリは使用できませんのでご注意ください。
また最近ではメモリのSPDデータは必ずしも起動の際に有効にならないことがあります。マザーボードにより独自に設定されることもあります。
正しい設定を行っていて、1周目でエラーがでる場合は、メモリに不良がある可能性があります。
メモリ不良の判別は1枚ずつテストしてみるとわかります。不良の場合は、1枚のみエラーがでます。2枚、または3枚すべて不良の確率は少ないので、もし1枚ずつでもそれぞれエラーがでる場合は、他のパーツや設定に原因があるかもしれません。当サイトの問い合わせフォームよりご相談ください。
2周目以降、しばらくしてからエラーがでる場合は、メモリの発熱による不具合の可能性があります。ケース内の通気を見直してみてください。特に標準より高いの設定で使用するメモリの場合は、メモリクーラーなどでに直接風を当てて冷やさないとエラーが起こることがあります。
またメモリスロットをフルに使った4枚、6枚挿しの場合は、特にメモリの熱にご注意ください。
どんな環境でも動作するというチェックの場合は、CPUに100%負荷をかけて長時間テストする必要があります。
ですが、このテストはかなり厳しくかなりクロックは抑えられてしまうと思います。
またMemtest86+でもある程度安定度をみることができます。
それほど負荷をかけないという場合は、普段使うアプリケーションで重い動作を繰り返してみてチェックする方法もあるでしょう。OCの場合はどのクロックで使うかは個人の判断になります。室内温度によっても安定するクロックは変わってきますので、納得いくテストを行ってから使用することをおすすめします。
メモリ単体が原因となっている場合は、個体差、製造時期の違いが考えられます。スペック以上の耐性については、バラつきがありますので、その点ご理解の上、ご購入、ご使用ください。弊社の保証はメーカースペックのクロック、電圧、タイミングでの動作になり、それ以外の動作は保証対象外となります。
メモリ以外の要素としては、他のパーツの構成、耐性、冷却の具合の違いがあげられます。特にCPU、マザーボードの耐性、チップセットの冷却による違いはかなり大きいものがあります。他のパーツの耐性が問題となりメモリスペックでの動作ができない場合もあります。
特にCPU側にメモリコントローラーが内蔵されているタイプの場合は、CPU側の耐性に左右されることがあります。
高クロックで動作させるためには、パーツを厳選する必要がありますのでご注意ください。
通常、メーカーはスペック値のチェックを行い製品を出荷しています。そのため、スペック以上のマージンについては実際に使ってみないとわかりませんし、メーカー保証外の動作となります。同じDDR3-1600スペックのメモリでも、あまりマージンがなくDDR3-1700くらいまでの耐性のもの、DDR3-2000でも動作するものなど様々です。またマージンは個体差も大きく、同型番の製品が必ずしも同じマージンがあるとは限りません。
確実に安定動作させたい場合には、余裕のあるクロックのメモリを選択されることをおすすめいたします。ですがメーカー保証外でも自己責任で試行錯誤しながら使用し、マージンの部分で楽しむのも自作PCの楽しみ方のひとつです。
マザーボードの設定により可能です。ただしどこまでのクロック設定ができるか、そのマザーボードによります。BIOSのバージョンによっても異なります。
また設定できたとしてもマザー側のクロック耐性が十分でないこともあります。
→参考エントリー:使用しているマザーボードはDDR3-1333対応となっていますが、このマザーでDDR3-1333以上を使うことはできますか?